第70回全国中学校理科教育研究会東京大会【3日目記念講演とか】

 【第70回全国中学校理科教育研究会東京大会3日目】記念講演

記念講演がありました。 演題「地球環境の変遷から宇宙における第2の地球の条件を探る」と題して、東京大学大学院理 学系研究科教授 田近英一 先生のお話をお聞きしました。

先生の原点が、液体の水が46億年安定していた理由を知りたいということで、この研究を始めら れたということです。以下は、内容自分のメモから少し噛み砕いてどのような講演だったか紹介し ます。

※画像はSNS等にあげてはいけないということなので、スライド画像の掲載はありません。

1、暗い太陽のパラドックス

まず、太陽と地球の関係から話がスタートしました。 星形成領域から、核融合反応が起きて、赤色巨星、超新星爆発をするとき、明るさを増していくこ とはあまり知られていません。この明るさを増していくことが、周囲の惑星にどのような影響があ るのかが知られていないので、このことを元に、太陽と地球の関係を説明します。 推定で太陽は1億年で1%明るくなっています。このことは、地球に影響があったのではと思われ ます。 もし、過去の日射量が今の大気組成(約8割が窒素、約2割が酸素)であればどうだったのかとい うシミュレーションをすると、約20億年以前は全球凍結していたと考えられます。しかし、30億年 以前の海水温は60°Cを超える高温環境だったことがわかっています。ここは現実とシミュレー ションで矛盾が出てきます。  つまり、過去の地球は、気温が高く、その理由として温室効果ガス(CO2)がたくさんあったので はと仮説を立てると、この説は立証できるのではないかと考えられます。  しかし、過去の温度を考えると、現在の100から1000倍の量のCO 2がないといけないと計算上 はなります。ただ、太陽系の惑星、例えば金星などを考えると、CO2が大量にあるため、地球もこ のCO2の量があったと考えることもできます。では、太陽の放射が年々多くなることから、太陽の 照射が多くなるとCO2は減るのかという疑問が残ります。

 実は、「地球は気候の自己調節機能を持っている。」という説が出てきました。 仕組みは以下の通りです。

1火山活動でCO2が出る →2大気中の雨にCO2が溶けて、かなり強い酸性の雨になる →3この酸性雨が石灰石などを溶かし風化が起きる 

→4 炭酸イオンとカルシウムイオンが反応し、炭酸カルシウムができる →5 地下に固定される (もちろん光合成もあり) →6これにより待機中のCO2が減る

がしかし、色々調べると、二酸化炭素だけではこの気温の上昇特に温室効果を説明できないこと が明らかになりました。そこで、温室効果ガスとして、メタンが存在したのではという説が出てきま した。

ただ、この説も現在の地球のメタンの量の1000倍必要ということがわかっています。ここで行き 止まるかと思いましたが、実は小さな微生物のサイクルには1+1=10になるような活動ができる ことがわかりました。つまり、メタンを作るメタン菌が小さな活動サイクルの中で、ものすごく活動し たのではないかとい説に行きつきました。


 つまり、これで上記の説が立証できるということがわかりました。

2、酸素と地球について 過去に硫黄や鉄などを使う非酸素型光合成生物がいましたが、酸素を生成するシアノバクテリア がいつ誕生したのかが実はわかっていません。 ただ、25億年前に酸素の微かな痕跡が発見されています。そして、24億年くらい前に、酸化鉄を 含む層とシリカに富む層が縞状にに互層が見らレました。これ以降酸素の量が増えているという こともわかっています。これ以降、真核生物が発生しています。また、6億3000万年前にも急激に 酸素が増えています。このことがどのように関係しているかは、この後お話します。

3、全球凍結イベントと酸素の上昇の関係 定義として、氷床があれば氷河期として定義します。つまり、今現在は南極大陸やグリーンランド などの氷床があるので氷河時代として考えます。実は恐竜がいた時代は、氷床がなく、氷河時代 とは呼びません。 今から約23億年、7億年、6.4億年前は全球凍結時代だったことがわかっています。 その証拠として、オーストラリア大陸が低緯度(赤道付近)にあったと推定される時代に大陸が 凍っていた証拠があるためです。

実は地球は全球凍結をすると、水は凍りますが火山活動は継続されるため、CO2が増えます。 水が凍っているためにCO2は溶けません。これにより温暖化が起こり、平均気温ー60°Cだった地 球の気温が+60°Cになるということが起きました。これにより、風化が激しくなり、風化で流れ出 た地球上のリンが海に流れ出し、それにより、光合成を行う海にいた生物の光合成が活発にな り、酸素濃度が上がったと考えられます。

つまり、全球凍結と聞くと絶望的なイメージがあるが、実は地球の生物にとって必要なイベントで あったと考えられます。このことから、上記の急激に酸素が増えた時代と全球凍結の時代がリン クしてきます。

生命にとって水は必要です。実は、太陽の日射量によって水の存在は決まっています。それをハ ビタルゾーンといい、このはビタルゾーンに惑星があるかで水が存在できるかが決まるが、実際 はその星に、温室効果ガスがあり、その状態を6億年程度保っている必要があるという条件も必 要です。また、火山活動があり、二酸化炭素を出し続けている必要もあります。

地球の水は実は全体の質量で考えると、0.0023%です。(水量/地球質量=0.0023%)もし10% を超えると、陸はなくなるということになり、生物の生命活動の多様性が維持できなくなります。

このことから、どの研究者も今、地球と同じような星がないかさまざまな条件を元に探していま す。

最後に地球は普遍的な存在か?ということを投げかけられて終わりました。

 全体として、やはり地球は奇跡の地球(ほし)であるということを感じました。3年の宇宙、1年の火 山のでこのような壮大な話ができればと思います。

さて、長かった3日間の全国大会ですが、大変充実したものでしした。来年は山梨県です。事務 局長は引退している?かな。

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