【2023年大会参加記録②】第70回全国中学校理科教育研究会東京大会【2日目分科会の巻】
2日の午後からは、待ちに待った分科会へ参加しました! 今回参加したのは第4分科会「環境教育」。選んだ理由はいくつかありますが、一番は中四国の発表があること、そしてよく知っている先生が発表されるということでした。
「環境教育」と聞くと、どうしても「SDGs」や「地域独自の取り組み」といった定番のテーマが多いのかなと勝手に想像していたのですが、蓋を開けてみると非常に多角的な観点からの発表が揃っており、めちゃくちゃ広い視点を得ることができました。各ブロックの発表内容を振り返ってみたいと思います!
1. 北海道ブロック:札幌駅周辺の再開発をエネルギーから考える
身近な場所を題材に自然事象を捉えていて、非常に興味深かったです。 特に「札幌駅周辺の再開発に対して、エネルギーという観点から自分たちはどのように開発を行うか」というテーマ。生徒がそれぞれの環境を考え、「持続可能な社会を実現するためには、様々な科学技術を活用し、CO2の削減やエネルギーを有効利用するような取り組みをしていこう」と、かなり具体的なところまで議論が出ていて大いに参考になりました。
2. 関東甲信越ブロック:思い切って「植物になってみる」!?
今回の中で一番シュール、だけど「なるほど!」と感じた実践です。 「自分たちは自然界の一部ということを実感させる」ために、なんと外に出て、道端に生えている植物になって1時間ほど太陽の光を浴びたり、風に当たってみるという授業を行っていました。 生徒からは「自然がたくさんあることに気づけた」「幸せな気持ちになった」「太陽は暖かい」「自然っていいな」といった感想が聞かれたそうで、なんだかとても微笑ましく、面白いアプローチだなと感じました。
3. 東京ブロック①(環境教育委員):放射線教育と鋭いディベート
放射線教育についての発表でした。 「ラジコ(RADKE)」で計測器が無料で借りられることは知っていましたが、それをうまく活用して実験を行っていました。中でも、クルックス管からX線が出ているという現象を利用し、「牛骨とビーフジャーキー」を障害物として置いたとき、ビーフジャーキーはX線をすり抜けるけれど骨はすり抜けない、という実験はすごく面白いなと感じました。 我が県では放射線教育はなかなかアンタッチャブルな雰囲気もあり難しいところですが、最終的にディベートを行い、肯定派・否定派それぞれの立場で自分が得た知識を使って勝負させるという内容でした。
せっかくの機会なので、一番質問したかったことをぶつけてみました!
私:「インターネットの知識が必ずしも正しいとは限らず、特に放射線教育に関しては都合が良い情報が出ている場合もありますが、そのあたりの配慮はどのようにされましたか?」
回答:ほぼ副読本とラジコのサイトを活用したとのこと。
私:「最初の授業で実験をされましたが、それを使って説明をした生徒がいますか? いる場合はどのような場面で使われましたか?」
回答:最初のレントゲンの部分について、結構な数の生徒が自分の言葉で説明に使っていたとのこと。
現場ならではのリアルな工夫が聞けて大変勉強になりました。
4. 中四国ブロック(香川県):教員自らも外へ出る!
香川県からは、自然をダイレクトに生かした発表でした。 まずは「教員が実際に外に出て調べてみませんか?」という熱い提案からスタート。教員団で実際に海へ出て砂を拾い、マイクロプラスチックを生徒に調べさせたり、川へ行って外来種を調査したりした結果をもとに授業を組み立てるという内容です。「広島なら、太田川や宇品海岸で先生仲間と一緒にこういうことができるのでは!」とイメージが広がりました。
5. 九州ブロック(熊本県):生徒の「なぜ?」を逃さない最高の授業
今回の発表の中で、一番「生徒思いだな」と感じたのがこちらです。 3年の環境単元で、イカの解剖をして「プランクトンを食べているんだね」という食物連鎖の授業をしていたときのこと。たまたまある生徒が「先生、胃の中からなんか謎のものが出てきました! これってプラスチックですか?」と質問してきたそうです。 それをただ流さず、「じゃあ、みんなで調べてみよう!」と展開したのがこの授業のきっかけ。これぞまさに、生徒が本当に主体的に調べる姿だなと感じました。
発表された先生は、過去に「タンポポは双子葉類ということは、発芽は双葉ですか?」と聞かれ、「だと思うけど、実物を見たことがないから、実際にやってみようか!」と授業で検証したこともあるというエピソードをお持ちの方でした。この先生の人柄や探究心がそのまま現れる、とても素敵な発表でした。 実際、熊本市内外の海岸で生徒のために5Lほどのゴミを拾い、それを生徒に分類させて、「ここは内海だからゴミの大きさがこうで、こっちは東シナ海が近くて……」と生徒自身が考察して発表している映像が非常に印象的でした。
6. 私立・国立ブロック(東京学芸大学附属世田谷中学校):教科横断型&使える実験ネタ!
国研の調査官からの「環境教育でこんな風にしてみないか」という提案がきっかけとなり、社会科と合わせた教科横断授業を実践された発表です。 川に落ちていた数種類のゴミを「プラスチック」と「非プラスチック」に分ける(実際は本物のゴミではなくゴミの絵を描いたカード)ところからスタートし、歯磨き粉やおむすびの包装などにもプラスチックが使われていることを知って、プラスチックの身近さを実感させる。さらに、コーラの瓶とペットボトルで容量と重さを比較させ、「なぜプラスチックが普及したのか」「ノープラスチックの生活は本当に可能か」と生徒に自分事として考えさせる非常に洗練された内容でした。
そして実験ネタとしても、「発泡スチロールをアセトンで溶かし、その溶かしたものを水蒸気で加熱するとまた膨らむ」という実験を紹介されており、「これは使える! 次の授業で絶対に入れたい!」と心から思いました。
すべての発表のあと、指導助言では、東京都教育センターの素敵な指導主事の先生から環境教育の目的などを改めて整理していただき、頭の中がすっきりとクリアになりました。
また、東京学芸大学の先生からは、「環境教育は3年の最後の単元であり、受験シーズンと重なって進めるのが難しい時期でもあるが、今まさに求められている『探求型の授業』そのもの。普段の授業改善に大いに役立つと考えて、大いに見習ってほしい」というお言葉をいただき、非常に深く考えさせられました。
現場の先生方の情熱とアイデアに圧倒された、最高に勉強になる分科会でした! さあ、本日は東京大学の先生による記念講演。こちらも今からめちゃくちゃ楽しみです!
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