【大会参加記録】第71回 全国中学校理科教育研究会 山梨大会に参加しました。
令和6年8月8日(木)、9日(金)に第71回 全国中学校理科教育研究会 山梨大会が山梨県甲府市で開催されました。その報告を行います。
8月8日(木)(1日目)
【理事会】
理事会では、今年度の全国中学校理科教育研究会の昨年度の活動報告、今年度の役員の紹介、活動方針の承認が行われました。また、全中理開発教材コンテストの紹介が行われました。
【ブロック会議】
ブロック会議では、中国四国大会の分科会の分担確認、今年度の岡山大会の案内が行われました。
【開会式】
開会式では、関係者挨拶、来賓祝辞、感謝状・記念品の贈呈、前年度の東京大会の報告、大会主題解説、大会宣言(案)提案などが行われました。
【文部科学省講演】
文部科学省初等中等教育局教育課程 教科調査官 真井克子 調査官より「資質・能力の育成を目指した理科の授業づくり」というタイトルで講演が行われました。要点は以下の通りです。
・教員、子どもの双方がICT機器を活用している場合、子どもが主体的に活動する授業形態をとる比率が高い。
・ICT利用の頻度が高い生徒ほど、効果を実感している。
・しかし、日本の大学への理工系入学者が17%とOECD加盟国でワースト2位。
・また、理工系学部入学者の女性比率は7%。
・高校進学段階では、理系志向は増えず、中学校3年生で理科が「わからない」という層が高校コース分けで文系へ行く。
・他にも、再び休校となった場合自分で学習を行う自信がないと答えた生徒の割合が非常に多い。
・今は、ヒトと違うことに価値がある時代であり、正解主義や同調圧力が価値創造やイノベーション創出の最大の敵となる。
・令和4年の全国学力状況調査の「理科」で特徴のある結果を示した学校を抽出し調べていくと、理科の授業づくりや教材研究に関して、教員間で気軽に話し合っている学校の割合が高い。
・相互評価活動の充実のため、探究活動の中で「自己評価⇒他者評価⇒自己評価」という自己だけでなく、他社から評価をしてもらい、再度探究過程を考え自己評価をしていくと効果が高いことが分かった。
・指導と評価を一体化させていくためには、ねらい・学習活動、みる観点、記録をどこでとるのかをしっかり計画することが大事である。
・この単元計画には、生徒の資質・能力の育成を柱とし、探究過程のうち、どこを重視するのかを検討する。また、次につながる評価を検討することや、教師の力量によらない授業につながることが大事である。
・また、観察や実験を重視してほしい。特に、生徒が本物に触れる機会を機会を増やすこと、予備実験を必ず行うこと、知的好奇心を持つことができれば、生徒は自ら進んで学ぶことができるということを忘れないでほしい。
特に、ICTと生徒の成績に関する相関結果や、単元を考える際に評価まで見通すこと、生徒による自己評価と相互評価を繰り返すことによる生徒の学力向上に関する内容などが刺激になり、勉強になりました。
8月9日(金)(2日目)
【分科会発表】
分科会発表は「第4分科会 環境教育」に参加しました。各先生方の発表は以下の通りです。
1北海道(旭川市)
身近にいる熊のふんやシカの骨などから、生徒がこれらはどのように分解されるのかという疑問を持ち、何が影響しているのかなどを調べ、各グループで課題を考え、実験の計画、実施、結果のまとめ、考察を他者へ発表するという取り組みを紹介されました。
2東北ブロック(山形県)
ボランティアで探究部という活動を行い、様々な調査や実験を行っていること、それらが生徒の行動によい影響を与えていることを発表されました。
3関東・甲信越(千葉県)
生物単元においての勉強する有意性を測る内容でした。環境単元において、地域のみそづくりやパン作りを通して、理科の生物単元における勉強する有意性が上がったという発表でした。
4東京(あきる野市)
1年生地層単元において、地域の地層や発掘された化石から、最後はパンフレットを作り地域のことを紹介するという取り組みでした。取り組みの中で、個別最適化、協働的な学びを進めるために、パンフレットつくりは生徒に任せる(一人でやることもいればグループでやる生徒もいる)という取り組みを紹介されました。
5近畿(兵庫県)
西宮の環境に取り組む歴史を踏まえ、各学校の実践を発表されました。その中で、モリカエルを守っていく取り組みをボランティアで行い、地域を巻き込んでいくことで、様々な課題を生徒がクリアしてく様子や、生徒自身の気づきが様々なところへつながっていくという発表されました。
6九州(鹿児島県)
身近にできる環境教育ということで、CO2排出量を減らすためのすごろくゲームや、地域の防災士の方を呼んでの授業などどこでもできるような内容実践の提案でした。
どの分科会も、それぞれの地域を生かした非常に優れたもので、広島でもできるものも多かったです。
【記念講演】
中央葡萄酒株式会社 取締役 三澤彩奈 様から「白ワイン「甲州」と風土を活かしたワイン造り」というタイトルで講演がありました。三澤様は、フランス栽培醸造上級技術者であり、世界各地のワイナリーで研鑽を積まれ、2014年には日本ワインで初の「Decanter World Wine」金賞を受賞しました。
講話の中で、「ワイン造りは化学反応である」ということや、一人の醸造家として、有機栽培にチャレンジすることの意義を日々見出していること、様々な工夫中から、ワインそのものがその産地の風景を見出せなければいけないことなど、非常に奥深い内容でした。
また、理科的なところでは、葡萄の糖度をどのようにしてあげていくのか、水や栽培方法なども工夫し、糖度が上がる方が自然に発行するという科学的な見地のも述べられ、大変勉強になりました。
【閉会式】
閉会式では、大会宣言の審議、運営委員長挨拶、次回の北海道大会の紹介などが行われ無事に大会が終了しました。
8月10日(3日目)
【エクスカーション】
エクスカーションでは、「先進技術リニアと世界遺産富士山コース」に参加してきました。
【山梨県立リニア見学センター】
ここでは、リニアモーターカーについて勉強を行いました。入り口では実験で使用されていた本物のリニアモーターカーが展示されており、車内も見学ができ、なかなか見ることができない実物を見学でき、大変感銘を受けました。ボディはアルミでできていることや、超電導を起こすために過去にはヘリウムを液体化し、強力な磁石を冷やしてたが、現在では冷却装置が使われていることなどかなり勉強になりました。
3日間、大変充実した内容の全国大会でした。今後、全中理としては、教材開発コンテストなども行われるので、ぜひご参加ください。
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